ヌクヌク横濱物語

第59話 ヌクヌクとピアノ

「ヌクヌクくん、こんにちは。」
「あ、お向かいさん!こんにちはヌク。」
「え!お引越しヌク!?」
「急に主人の転勤が決まってね。」「寂しくなるヌク」「何かお手伝いできることあるヌク?」
「実は娘のピアノをどうしたらいいか悩んでいて。」
「娘はもう家を出ているし引越し先にはピアノを置くスペースもなくて。」
「でもたくさんの思い出がつまったピアノだから」「できればまた誰かに弾いてもらえたら嬉しいんだけど。」
「よし!ぼくたちにお任せあれヌク!」「必ず引き取り先を見つけるヌク!」
「と、言ったものの...」
「一日中探し回ったけど収穫ゼロヌク。」「学校もリモート授業だから、ピアノはいらないらしいヌク。」
「そういえば、この1年、通勤通学ラッシュの光景もすっかり見かけなくなったヌク。」みどり中央駅、しーん
「そうだヌク!」
引越しの日「この駅ともお別れね。」「寂しいね。」
「でもあのピアノ、ヌクヌクくんたちはどこへ持っていったのかしら?」
「宇宙船で運んでいったけど...?」「だ、だいじょうぶ...」
「でもピアノが空を飛ぶなんて」「くすっ」
「ピアノ?」
「ピアノ?」
「駅にピアノがある!」
「あれはうちのピアノ?」「駅が引き取ってくれたヌク。」
「誰でも自由に弾けるから、街の人みんなの憩いの場所になるヌク。」
「ありがとう。ヌクヌクくん。」
「皆さんお元気で!」「さようならヌク」
「春は、新しいスタートの季節ヌク。」「ピアノさんにとっても、新生活の始まりヌク。」
「ピアノ習いたくなったヌク」「ぼくもヌク!」
「ポロン♪〜」おわり
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