ヌクヌク横濱物語

第49話 ヌクヌクとツバメ

ピュー
「今年は人が少ないな〜」
「ん?何をしている?」
そ〜 ガタガタ バタバタ
「君は、誰ヌク?」ドキッ!
「勝手にのぞいてすみません!ぼ、ぼく、1年ぶりにこの町に帰ってきたツバメです!」
「ぼ、ぼく、カラダが小さくて飛ぶのも遅くて...」「そ、それで他のツバメよりもずっと出遅れて...そしたら去年の巣が他の鳥のものに...」
「それならうちの軒下で暮らしたらいいヌク♪」「ホ、ホントですか!ありがとうございます!」
「ところで今年は、どの町も人が少ないようですが...」
「実はとても大変な病気が流行っていてみんな家にいるヌク。」「あなたたちは何を忙しくしていたのですか?」
「マスクを作ってご近所に届けているヌク。」
「ではぼくにマスクの配達をお手伝いさせてください!」「助かるヌク!」
「じゃ早速これを保育園へ届けてほしいヌク!」「オッケーです!」
「ありがとう!」「ありがたい!」
2週間後「ツバメさんのおかげで大助かりヌク」「あれ?ツバメさんがネットニュースに出ているヌク!」
ツバメがマスクを配達!「幸福な王子」令和版か!「幸福な王子って?」
「検索するヌク」
昔、ある町に金箔や宝石で造られた美しい王子の銅像がありました。
ある夜、王子はツバメに頼みました。自分の金箔や宝石を剥がして、貧しい人たちに届けて欲しいと。
王子の願いを叶えようと毎晩、街中を飛び回ったツバメは、とうとう王子の足下で力尽きました。
「えー!!」
「うわわわわわ!これは大変ヌク!ツバメさんが!!」「うちのツバメさんは心配ないヌク。」
「え?」「戻ったっすー」
「ホントだヌク。毎日飛び回っているから...」「すっかりマッチョ系...」「次はどこっすか〜?」ムキムキ「キャラまでも変わったヌク...」
1日でも早く平穏な暮らしが戻ることを祈っているヌク。

作者プロフィール

犬と暮らすイラストレーター セツサチアキ

イラストレーター、デザイナー、絵本コラボレーター
東京都出身

ホンダの社会貢献活動キャラクター「犬のフィランちゃん」のキャラクターデザインを皮切りに、商業デザインの世界に入る。
以降、動物や人物のイラストを中心に、企業のポスターやDM等のデザインを手掛ける。
作品は、大好きな動物への愛情や優しさが溢れる柔らかいタッチが特徴。

2011年以降は、一般社団法人盲導犬総合支援センターのチャリティーグッズ商品企画からカタログのデザインまで幅広く担当。
2014年、同社の公式キャラクター「もうどう犬 エルくん」のキャラクターデザインを担当。
「もうどう犬 エルくん」が主人公のショートストーリーや、その他チャリティーグッズとして盲導犬を主人公にした物語の創作活動も行い、活躍の場を広げている。
2015年から、お客様の愛犬の写真とエピソードをもとにして制作するフルオーダー絵本「お守り絵本」の創作活動も開始。